a beautiful day for diffusion of a death by exposing it to the elements.
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一話完結SSです。「彼ら」がウサギを食べていたらどうなっていたか、というお話。何かと戦った末に堕ちていくヌンタマを書くのが好きすぎます。タイトルはMUSEというバンドの曲から。
綾部は、伝七がぽかんとしている間にさっさと火を起こすと、慣れた手つきでウサギを捌いていった。まずは血を抜いて、皮を剥ぐ。さらに短刀を動かしていくと、小さな血まみれの内臓が、まだかすかに動いているまま、ぼたぼたと土の上に落ちていった。伝七は、思わず目を逸らした。匂いで他の獣に気づかれることのないよ う、綾部は掘っておいた穴に手早く内臓を放り込むと、すぐに土をかけた。
そのまま動きを止めることなく、肉塊と化したウサギを拳ほどの大きさに三つにばらし、用意してあった竹串にそれぞれぶすぶすと刺していく。それを火にくべて少し待つと、やがて脂の焦げる香ばしい匂いが漂った。
「食え」
ある程度焼けたことを確認すると、中から一本を取り出して、綾部は伝七に差し出した。伝七は、いったんは受け取ろうとする仕草を見せたが、何を思ったのか、顔を背けた。
「食べられません」
「なぜ? 今食べておかないと、これから体力がなくなって動けなくなるぞ」
綾部は伝七の口元に、串を突きつけるようにして焼いた肉を押しつける。
「生けるものを食すのは悪なのだと、その、教わりましたので」
「……仏道か」
綾部が尋ねると、伝七は申し訳なさそうに頷いた。
「お前はなんだ、公家か、武家の出なのか?」
伝七は、答えない。
「そういうことは、明日になっても明後日になっても食う米を持っている連中が言うことだ。私たちは今、こうやって獲った獣を殺して食べないことには、今日すら生き抜ける保証がない」
伝七に見せつけるように、綾部は、ウサギの肉にがぶりと噛み付いた。血の混じった肉汁が、じゅうっと音を立てて滴(したた)る。
伝七は、先ほどから自分の中の何かを抑えていた堰が、押し崩されたような気がした。気がつくと、大粒の涙がぽろぽろと、頬を伝って流れていた。
綾部は一歩前に出ると、伝七の襟元をぐいっとつかんだ。伝七が驚いて拒否する間もなく、綾部は強引に伝七の口をこじ開けてウサギの肉を突っ込む。
「食え。少なくとも今日一日は、私と一緒に生き残ってもらわなくては困る。木の実や草では到底足らん」
突然口の中に入れられた生臭い塊を、伝七は思わず吐き出そうとした。だが綾部の大きな掌で口を押さえられ、ままならない。
「絶対に出すなよ、いいな」
伝七は言われたとおりにした。綾部のことだ、そ うしなければどんな仕打ちを受けるかわからない。押さえつけられた口が痛い。涙が、先ほどとは比べものになら ないぐらい、後から後からとめどなく溢れ出てきた。何だかみじめなような気もしたが、それよりも、生き物を口にしてしまったということが恐ろしく、そして悲しかった。
「こうやって私たちは生きていくんだ、わかったか」
綾部の言葉が、どこか遠くから響いてくるかのように聞こえる。母からも、 祖母からも、御坊様からも、決して破ってはならないと言われた禁を、自分は今、破っているのだ。伝七は、半ばやけっぱちのように上の歯と下の歯をかみ合わせなが ら、がくん、がくんとからくり人形のように頷いた。頭の中が、どんどん真っ白になっていた。
「よし」と言われて、口の中の肉をほとんど反射的に飲み込んだとき、伝七はふと我に返り、そして、自分はついに穢(けが)れてしまったのだと思った。
えづくこともなく、ただ泣きじゃくる伝七の頭を、綾部は、ここにはいない何ものかを睨みつけるような目をして撫で続けた。
そのまま動きを止めることなく、肉塊と化したウサギを拳ほどの大きさに三つにばらし、用意してあった竹串にそれぞれぶすぶすと刺していく。それを火にくべて少し待つと、やがて脂の焦げる香ばしい匂いが漂った。
「食え」
ある程度焼けたことを確認すると、中から一本を取り出して、綾部は伝七に差し出した。伝七は、いったんは受け取ろうとする仕草を見せたが、何を思ったのか、顔を背けた。
「食べられません」
「なぜ? 今食べておかないと、これから体力がなくなって動けなくなるぞ」
綾部は伝七の口元に、串を突きつけるようにして焼いた肉を押しつける。
「生けるものを食すのは悪なのだと、その、教わりましたので」
「……仏道か」
綾部が尋ねると、伝七は申し訳なさそうに頷いた。
「お前はなんだ、公家か、武家の出なのか?」
伝七は、答えない。
「そういうことは、明日になっても明後日になっても食う米を持っている連中が言うことだ。私たちは今、こうやって獲った獣を殺して食べないことには、今日すら生き抜ける保証がない」
伝七に見せつけるように、綾部は、ウサギの肉にがぶりと噛み付いた。血の混じった肉汁が、じゅうっと音を立てて滴(したた)る。
伝七は、先ほどから自分の中の何かを抑えていた堰が、押し崩されたような気がした。気がつくと、大粒の涙がぽろぽろと、頬を伝って流れていた。
綾部は一歩前に出ると、伝七の襟元をぐいっとつかんだ。伝七が驚いて拒否する間もなく、綾部は強引に伝七の口をこじ開けてウサギの肉を突っ込む。
「食え。少なくとも今日一日は、私と一緒に生き残ってもらわなくては困る。木の実や草では到底足らん」
突然口の中に入れられた生臭い塊を、伝七は思わず吐き出そうとした。だが綾部の大きな掌で口を押さえられ、ままならない。
「絶対に出すなよ、いいな」
伝七は言われたとおりにした。綾部のことだ、そ うしなければどんな仕打ちを受けるかわからない。押さえつけられた口が痛い。涙が、先ほどとは比べものになら ないぐらい、後から後からとめどなく溢れ出てきた。何だかみじめなような気もしたが、それよりも、生き物を口にしてしまったということが恐ろしく、そして悲しかった。
「こうやって私たちは生きていくんだ、わかったか」
綾部の言葉が、どこか遠くから響いてくるかのように聞こえる。母からも、 祖母からも、御坊様からも、決して破ってはならないと言われた禁を、自分は今、破っているのだ。伝七は、半ばやけっぱちのように上の歯と下の歯をかみ合わせなが ら、がくん、がくんとからくり人形のように頷いた。頭の中が、どんどん真っ白になっていた。
「よし」と言われて、口の中の肉をほとんど反射的に飲み込んだとき、伝七はふと我に返り、そして、自分はついに穢(けが)れてしまったのだと思った。
えづくこともなく、ただ泣きじゃくる伝七の頭を、綾部は、ここにはいない何ものかを睨みつけるような目をして撫で続けた。
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一. 日本史から入ったタイプなので、落.乱、忍.た.ま以外のアニメ、マンガ、ゲームの話にはついていけないことが多いです。申し訳ない!
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